中山七里 著 2021 ㈱宝島社文庫
周囲から善人と見られる方、人格者と見られる方が続けて殺されてしまいます。なぜこのような事件が起きたのか?非常に興味を持たされます。
その後背景(理由)が明かされていくのですが、私はどんどんと容疑者側に感情移入してしまいました。容疑者が、とても真面目な方だと感じられて。「犯罪を犯してはならないけれど、この復讐はしてほしい・・!」という気持ちを持ってしまいました。
震災後の仙台の様子や生活保護などの描写で、途中、胸が張り裂けそうな場面があり、ページをめくる指がなかなか進まない箇所がありました。現実として、この小説に書かれたような問題は多々あるのだと思います。自分に何か出来ることはあるのだろうかと、考えさせられました。
今回、私が読んだのは文庫版でした。こちらの文庫版には、映画化記念として中山先生と瀬々敬久監督との対談が載っていました。映画版は小説とは視座が違うという事で、興味があります。いつか見てみたいと思いました。
最後に。普段自分が使っているのとは違う漢字を使われている言葉が多く、面白いと感じました。”依怙地(いこじ)”、”捗々しい(はかばかしい)”、”昏い(くらい)目”、”昂奮(こうふん)”など・・。読みながら、「おっ」となりました。
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